エネルギーサミットが開幕、50カ国から4,000人超が来場
ジャパンエネルギーサミット(主催=DMGイベント)が3日、東京ビッグサイトで開幕し、国内外のエネルギー関連企業約50社が最先端の技術を展示するとともに、カドリ・シムソンエネルギー担当欧州委員や東京ガスの笹山晋一社長ら、業界の要人がLNGや水素をテーマに、日本のエネルギー政策に関する知見を交換し合った。5日まで開催されるこのサミットには、世界50カ国以上から4,000人超が来場。米国企業で半導体などの開発を手掛けるインド人の男性は「LNGや水素に直接関わっているわけではないが、ビジネスチャンスを探りに来た」と、このイベントを心待ちにしていたという。
日本は2022年度の温室効果ガス排出・吸収量が2021年度比で2.3%減、2013年度比で22.9%減と、「2050ネットゼロ」目標に向け着実に歩みを進めている、世界でも数少ない先進国。今後は50年以上にわたってLNGを輸入してきた経験を活かしながら、AIを駆使した火力発電所の効率的な運用や、米国のLNGプロジェクトと協力して開発するe-methaneの導入、CCS(二酸化炭素の回収・貯留事業)の促進、水素の普及など、多方面で世界の脱炭素を先導していく役割が求められる。展示会に出展したJERAや東京ガスもこうした最新の取り組みを来場者に紹介。世界に向けて日本の持つ技術力をアピールした。
主催のDMGイベントは日本のエネルギー動向に関する注目度の高さを評価しており、「来年も同じ東京ビッグサイトでの開催を検討している」(DMGイベント)として、規模の拡大にも前向きだ。実際に多くの聴講者を集めたパネルディスカッションでは、司会を務めた国際エネルギー機関(EIA)の田中伸男名誉理事からJERAの西澤仁LNG統括部理事に対し、水面下で進むカタールエナジーとのLNG長期契約交渉について鋭い質問が飛び、会場が大いに沸いた。田中氏は開会のスピーチでも「常に新しい学びの場がある」と、国際イベントが業界に果たす役割を強調。脱炭素やエネルギー安全保障といった大きな課題を解決するためにも、日本が他国を巻き込み、人と技術の交流を促す機会が必要とされそうだ。
写真=開会式でのテープカット(DMGイベント提供)
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