8日 原油は下落、供給不安緩和への期待感から
11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(6月限)は前日終値と比べ30セント安の78.08ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(7月限)は同35セント安の82.81ドル/バレルと、いずれも小幅下落。
8日アジア時間午前の原油相場は小幅安。この日の値動きについて、ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、大きく3つの要因があると指摘した。1つは原油減産への縮小観測だ。ロシアのノバク副首相が同国の原油産出に関し、原油の供給増に向けて自主減産を必要に応じて調整できると報じられた。これにより、原油の供給不安緩和へ期待感が増した。 2つ目に、ドル高情勢の維持。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が7日、利下げを急がない姿勢を示したことで、ドル相場は上昇。これにより、原油への割高感が増したという。さらに米石油協会(API)の週間在庫統計(5月3日終了週)では、当初の減少予想に対し原油在庫が50万9,000バレル増加。加えてガソリンの在庫も増加。これにより、需給の緩和への観測が高まった。
今後の見通しとして、上野氏は「ただし、大幅な下落は想定しづらい」と見方を示す。中東情勢を巡っては、休戦への見通しが不透明であり、「供給不安からの買いは根強く、相場を下支えしている」という。またロシアのノバク副首相の発言を受け、「真意が見えないため、今後も注視が必要」と述べた。
日経平均株価は前日比529円95銭安の3万8,305円15銭で推移している。ドル円相場は1ドル=155.19円と、前日の17時時点(154.12円)と比べドル高・円安方向に振れている。
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