中国=スチレンモノマー、供給過剰に直面
世界で2022年までに多くのスチレンモノマー(SM)設備が新規稼働を予定しており、SMの供給が過剰になる局面を迎えている。2023年までに世界のSM生産能力は年産4,257万トン、誘導品設備の能力は3,322万トンにそれぞれ増加するとみられている。
このうち、中国のSM生産能力は2022年までに640万トン増加する見通し。2023年までは中東および北米のSM輸出量が依然として多いと見込まれるが、中国の輸入量は108万トンに減少すると予想されている。米中貿易戦争およびアンチダンピング税などの問題も、中国の需要減少の一因となっている。2019年の統計では、中国のSM輸入量は312万トン。一方、中東の輸出量が179万トン、北米が115万トンだった。
需要面では、SM同様に誘導品の新規設備の稼働が予定されているものの、数量はSM生産設備ほど多くない。SM需要は、2020年に4%、2021年に8%減少すると市場関係者は見ている。製品別では、ポリスチレン(PS)、発砲スチロール(EPS)、ABS樹脂の需要がそれぞれ33%、26%と18%を占めている。2023年までに新規稼働を予定している誘導品設備の生産能力は合計325万トンで、内訳はABSが250万トン、PSが30万トン、EPSが45万トンと聞かれる。
足元では、新型肺炎の影響で世界中のSM需要が低迷しており、市場には余剰感がある。こうした状況下、中国国内のSMメーカーは先行き減産する可能性がある。
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