中国=大型連休明け後のPTA市場の動向
中国や日本で大型連休となった5月初旬は原油価格が上昇基調に推移し、パラキシレン(PX)など高純度テレフタル酸(PTA)の原料コストがつれ高となった。これを受け、連休明け後もPTA相場は上げ基調となった。ただし、需要に強さが見られず、上げ足は鈍い。
欧米の都市封鎖措置が少しずつ緩和されていることもあり、原油市況は上昇に転じている。また、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国および非加盟国による減産体制が5月1日から実行されたことも強材料になっている。
PTAの供給面では、このところ寧波Limanの年産70万トンのPTA設備がトラブルで稼働停止となっているほか、Jiangyin Hanbangの年産60万トンのPTA設備も不具合で稼働が低下している。同設備は今後、修理のため稼働停止となる可能性がある。一方、上海石化の年産40万トンのPTA設備は当初、定修入りを6日に予定していたが、16日に延期した。同設備は現在84%程度の稼働率を保っている。
需要面では、ポリエステルメーカーの稼働率が連休明け後、通常稼働を維持しているものの、すでに十分な在庫を確保しており、PTAを積極的に買い付ける動きは見られない。一方、中国国外では新型コロナウイルスによる肺炎の感染が続いているうえ、米中貿易戦争の影響もあり、最終製品の需要に不透明感がある。また、繊維の輸出の受注が依然として少なく、短期的に需要回復が期待できない。こうした状況下、PTA相場は上伸力を欠いている。
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