石化業界=新型コロナによる業界および金融への影響
新型コロナウイルスの影響で世界的に景気後退観測が強まる中で、石油化学製品の需要不振が深刻化している。マーケットでは余剰品があふれる格好となっている。
世界各地で都市封鎖や感染者および感染の可能性がある人の隔離措置が続いており、経済が停滞している。欧州では、3月の購買担当者指数(PMI)指数が31.4%と、2月の51.6%から大幅の下落となった。また、4~6月期の欧州圏の国内総生産(GDP)は前年同期から4%下落する見通し。仮に2020年下半期に急速に経済が回復した場合でも、欧州経済は2.2%の縮小となると見られている。米国でも同四半期のGDPの下げ幅が12%を超えると予測されている。また、新型コロナの感染がいまのところ他地域ほど深刻ではないブラジル、インド、メキシコなどの新興市場でもGDPは2ケタの下落が予想されている。
石化製品の需要を面では、2008~09年の金融危機時よりも厳しい状況に直面する可能性があるとの指摘が聞かれる。当時は化学業界の全体の設備稼働率が一時46%にまで落ち込んでいた。今回は世界の自動車、建築、電子産業など幅広い分野で石化製品の需要が大幅に減少。回復には相当な時間がかかると予想されている。多くの国や都市が封鎖モードに入り、経済活動が制限されている。これにより、タイヤなど誘導品工場の生産が止まり、原料が余剰となっている。当初、新型コロナが中国国内で広まったことから、同国内で生産される部品の供給に不足が生じ、製造業のサプライチェーンが中断されていた。しかし、足元では全世界のサプライチェーンで同様な状況となっている。