中国=PX市場の現状
ここ数年、世界のパラキシレン(PX)生産能力が急増している一方、川下のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエステルの需要の伸びが減速しているため、中国のPX設備の平均稼働率は2014年以来、初めて80%以下に低下した。また、中国国内で自給率が高まっているうえ、生産コストが高いため、一部PXメーカーは稼働を停止し始めている。これまで輸入に依存してきた中国では、2019年までに複数の新規設備が稼働を開始。輸入品に対する依存度が低くなっている。
2019年の中国のPX年間生産量は前年比490万トン増加した。Hengli石油化学の新規PX設備の立ち上げの影響が大きい。一方で輸入比率は43%に低下した。2024年までにさらに840万トン/年が新増設される見通し。
こうした状況下、これまで中国に輸出していた韓国、日本、台湾、ベトナムのPXメーカーは、ポリエステルチェーンの一貫体制を再構築を検討しているもよう。ただし、中国国内に比べて他地域のポリエステル産業は競争力がないため、根本的な解決にならないようだ。このため、これらメーカーは中国以外への輸出に活路を求める可能性がある。ここ数年、欧州および米国市場で高純度テレフタル酸(PTA)設備を増強しており、PX消費量が拡大すると見られる。ただし、中国向けの輸出減少を補うほどではない。
これらを背景に、複数のPXメーカーはPX原料をガソリン添加剤として使用。また、大部分のPXメーカーが稼働率を引き下げている。
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