記者の眼記者の眼

第191回 (2023年4月12日)

 私はインフレを懸念する。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC加盟国で構成されるOPECプラスがこのところ、5月から追加減産を行う意向を示した。OPECプラスは、昨年11月から原油生産量を日量200万バレル削減している。追加減産を実施すれば、5月からの削減幅は日量366万バレルとなりそうだ。

 

 多くの国はインフレに苦しんでいる。食品や電気、ガスなどの価格が暴騰し、一般消費者に打撃を与える。世界中の中央銀行はインフレを抑えるために金利を引き上げてきたものの、現時点でそれほど効果が出ていないようだ。インフレ率は2022年のピークからは若干下がっているが、依然として高く、多くの中央銀行の目標である2%にはほど遠い。

 

 OPECが追加減産の予定を発表した直後、原油価格がバレルあたり約5ドル急騰した。原油価格の上昇は、私たちの日常生活にも影響する。毎日食べる食品は、産地から市場まで運ばれなければならない。輸送には、船舶用燃料油やトラック用軽油など燃料が必要だ。私の住むシンガポールでは、発電用燃料として、ほとんど天然ガスを使用する。また、調理用燃料も、天然ガスの使用が普及しつつある。天然ガスの値段は原油価格に連動するため、原油相場に影響されやすい。原油価格が昨年半ばの高水準から下落してきたので、私の光熱費は最近、ようやく減少しはじめている。ただ、原油価格が再び上昇すれば、電気料金はまた値上がりするだろう。

 

 

(チーセン)

 

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