記者の眼記者の眼

第184回 (2023年2月22日)

 先日、健康診断を受けた。きわめて健康のようだが、体重が前年より2キロほど増えていた。食事、アルコール摂取量、睡眠時間ともに模範的な生活習慣を続けているので、加齢による基礎代謝量の低下と、長引く在宅勤務に伴う運動不足が原因であろう。

 

 個人的な意見だが、試合前に計量があるボクサーでもない限り、目標体重を設定してダイエットに励むほど愚かなことはないと思う。勿論、服が着られなくなるほど太ってしまっては問題だが、大事なことは「体重を減らす」ことではなく、「心身ともに健やかである」ことだからだ。

 

 現在、世界各国がパリ協定に基づき取り組んでいる温室効果ガス(GHG)削減だが、日本でも2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするとの国際公約を掲げている。ただ、CO2削減のためには、技術革新、コスト負担だけはなく、世界各国との連携が必要など、乗り越えるべき課題が山積している。

 

 連日のように脱炭素社会の実現に向けて、官民挙げての取り組みが報じられているが、エネルギー環境の見直しに伴う問題点とも正面から向き合うことが必要だろう。「健やかな地球環境」を実現するためには、妄信的にCO2削減目標達成を目指すだけではだめなのだ。人に例えればわかりやすいが、体重を減らさんがために、極端な食事制限をした結果、ストレスから隣人と殴り合いの喧嘩に発展したり、高価な健康サプリにお金を費やした結果、経済的に困窮したりではそれこそ本末転倒ではないか。

 

(小泉)

 

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